愛知県で野池を見つけても、そこで竿を出していいのかどうかは見ただけでは分かりません。
愛知県内の農業用ため池は1,891か所ありますが、釣っていい池をまとめた一覧は公的には公表されていません。都市公園の中にある池と農業用のため池では扱いが違い、同じ種類でも池ごとに管理者が違うからです。
この記事では、条例や県の公表資料など公的な情報で確認できることだけを使い、釣っていい池を自分で見分ける手順を整理します。読み終えるころには、目の前の池について何を見て、どこへ確かめればよいかが分かるようになります。
愛知県の野池は場所ごとに釣りの可否が違い、持ち帰りは禁止されている
愛知県の野池で釣りができるかどうかは、その池がどういう池なのかで決まります。釣り人が野池と呼ぶ小さな池は、多くが都市公園の中にある池か、農業用のため池のどちらかです。前者には市町村ごとの条例がかかり、後者には管理している人がいます。
一方で、釣ったバスを生きたまま持ち帰れない点は、どの池でも同じです。
都市公園の中にある池
公園の中にある池には、その市町村の都市公園の条例がかかります。条例の中身は市町村ごとに違うため、まとめて扱うことはできません。名古屋市の場合、都市公園条例が禁止行為のひとつとして「鳥獣及び魚の類を捕獲し、又は殺傷すること」を挙げています。
魚が条文に明記されているため、名古屋市の公園にある池では釣りが原則として禁じられていることになります。
出典:名古屋市都市公園条例
名古屋市以外の池は、その市町村の条例を確かめることになります。同じ条文があるとは限りません。
農業用のため池
農業用のため池には、必ず所有者か管理者がいます。農業用ため池の管理及び保全に関する法律の第4条が、所有者または管理者に施設の情報を県へ届け出るよう義務づけており、愛知県もその手続きを案内しています。
法律が届出の主体として所有者と管理者を名指ししている以上、持ち主のいない池は制度のうえで存在しないことになります。国や地方公共団体が所有する池は届出の対象外ですが、そちらも所有者ははっきりしています。
ため池は農業のための施設であって、釣り場として造られたものではありません。
一部が釣り人に解放されている池
条例で原則が禁止でも、管理者が一部を開放している池があります。名古屋市は平和公園の猫ヶ洞池について、メタセコイア広場に面する岸の一部がコンクリートで整備され、部分的に釣り人に解放されていると記載しています。
出典:平和公園(名古屋市)
ただし、開放されているのは岸の一部で、池の全体ではありません。バス釣りができるとも、どの釣り方ができるとも書かれていないため、現地の掲示で確かめることになります。
釣ったバスは生きたまま持ち帰れない
ブラックバスは外来生物法の規制を受けます。愛知県は、ブラックバスとブルーギルについて飼養、栽培、保管、運搬、輸入が禁止されていると案内しています。
同法が禁じているのはこの5つであって、釣る行為そのものは同法の対象ではありません。生きたまま持ち帰ることも、手元で生かしておくことも、別の池へ移すこともできないという内容です。その池で釣りをしてよいかどうかは、これとは別に池ごとの条例と管理者の判断で決まります。
愛知県の野池は1,891か所あるが釣れる池の一覧は存在しない
愛知県には農業用のため池が1,891か所あります。それでも、どこで釣っていいかを公的にまとめた一覧はありません。池の名前を並べたページは見つかりますが、その内容が今も同じかどうかは確かめようがないためです。
公表されているのは池の所在であって釣りの可否ではない
この1,891か所という数字は、県が防災の観点から集めた届出をもとにしています(令和8年、2026年3月末時点)。このうち1,012か所が、防災重点農業用ため池に指定されています。
防災のために整備された情報です。池の所在と規模は分かっても、そこで竿を出していいかどうかは示されていません。
池ごとに管理者が違う
釣りの可否を答えられるのは、県でも市でもなく、池ごとの管理者です。知多市は、市内に大小50か所の農業用ため池があり、その管理は水を利用している農家が主に行っていると説明しています。
知多市の50か所を一覧にするだけでも、管理者へ一人ずつ聞いて回ることになります。県内1,891か所ともなれば、一覧が無いのは作れないからという話になります。
釣りの可否は変わるので一覧にしても残らない
釣りの可否は、いちど決まったら変わらないものではありません。可否を決めているのは池ごとの管理者であり、管理者が判断を変えれば扱いも変わります。
そのため、池の名前を並べた一覧は、作られた時点の状況を写したものにしかなりません。この記事が池の名前を並べないのも、同じ理由です。代わりに、時間が経っても変わらない見分け方を次の章に置きます。
愛知県で釣っていい野池は出かける前と現地で確かめる

釣っていい池かどうかは、出かける前に調べられる部分と、現地に着いてからでないと分からない部分に分かれます。地図と市町村のページで目星をつけ、分からない部分は近くの釣具店で聞き、着いたら掲示とフェンスを見る。この順で進めると、無駄足や、知らずに立ち入ってしまう事態を減らせます。
地図で池の位置と周りの様子を見る
野池そのものは、地図アプリを航空写真に切り替えると探せます。市街地の外側や丘のふもとをたどっていくと、田畑のあいだに小さな水面が点々と並んでいるのが見えます。地図表示のままでも、ため池は水面として描かれるので位置は分かります。
愛知県は濃尾平野から知多半島にかけてため池が多く、候補は次々に出てきます。
見つけた池は、まわりの様子で見当がつきます。田畑に囲まれていれば農業用のため池である可能性が高く、公園の中にあれば、その市町村の都市公園の条例を確かめる対象になります。
車を止められる場所も地図で見当がつきますが、写っている空き地が停めてよい場所とは限りません。公式の駐車場が確かめられない池は候補から外すほうが、着いてから困りません。
この見分け方は愛知県に限りません。神奈川県の野池についても、同じ考え方で別にまとめています。
市町村の公園のページを見る
池が公園の中にあるなら、その市町村の公園のページに手がかりがあります。名古屋市が猫ヶ洞池について釣り人への開放を記載しているのは、その例です。
公園の名前で検索して、市町村の公式ページを開くという手順になります。釣りの記載がない場合は、可否が公表されていないというだけで、釣っていいという意味にはなりません。
釣具店で聞く
公的な情報で分からないときは、近くの釣具店で聞けます。地元の店は、周辺の池の扱いを知っていることがあります。
ただし、釣具店が池の使用を許可できるわけではありません。参考として聞き、最終的な判断は掲示と管理者に置きます。
現地でフェンスと掲示を確認する
現地でまず見るのは、掲示とフェンスです。知多市は、釣り人によってため池の安全フェンスが破られる例や、捨てられた釣り糸が農業用水のポンプに絡まって送水が止まる例が多く発生していると説明しています。そのうえで、フェンスの内側へ入らないよう呼びかけています。
フェンスがある池には入らないという判断で構いません。掲示も人も見当たらず判断がつかない池は、その日は竿を出さずに帰るのが確実です。
逆に、立入禁止の掲示もフェンスも無く、管理者に確認が取れた池なら、そこは竿を出してよい池です。ここまでの手順は、その一つを見つけるためのものです。
愛知県の野池のバス釣りは季節で釣り方が変わる
野池は水面が狭く水深も浅いため、季節による水温の変化がそのまま釣り方に出ます。持っていくものを一つに絞るならワーム(柔らかい素材でできたルアー)で、岸から近い範囲を丁寧に探る釣りが軸になります。狙う場所と探す速さを季節で変えることになります。
以下は愛知県の池の実測ではなく、水深の浅い野池という水域の性質から一般に言えることです。季節ごとのバスの動きそのものは、池を問わない形で別にまとめています。
春(3〜5月)
春は産卵に向けて、バスが浅い場所へ寄ってくる時期です。ただし3月は水温がまだ上がりきらず、浅場にいるかどうかが日によって変わります。
水温が上がりやすい日中を選ぶと、動きをつかみやすくなります。風が当たらず、日が長く当たる岸から順に見ていきます。
夏(6〜8月)
夏は水温が上がりすぎて、バスが日陰や、水が入れ替わる流れ込みのような場所に寄ります。野池は水量が少ないぶん、水温が上がるのも早くなります。
朝と夕方に時間を寄せる進め方が、一般には有力になります。日中に釣るなら、木の陰や水草の際といった影のある場所から探します。
秋(9〜11月)
秋は水温が下がり始め、バスが池の中で散らばります。夏のように影へ集まらないため、どこにいるかが読みにくくなる時期です。
そのぶん、広い範囲を手早く探す進め方が合います。岸を歩きながら投げる位置を変え、反応のあった場所を丁寧に探り直します。
水温が下がりきる11月にかけては、深い側へ移っていきます。同じ池でも、9月と11月では立つ場所が変わります。
冬(12〜2月)
冬は水温が下がり、バスの動きが鈍くなります。野池は水深が浅いぶん冷えるのも早く、動く時間帯が狭くなります。
一日のうちで水温が上がりやすいのは、晴れた日の昼過ぎとされます。動かす速さを落として、同じ場所を粘る釣りになります。
まとめ:愛知県の野池は一覧ではなく現地で確かめる
愛知県の野池でバス釣りができるかどうかは、池ごとに違います。県全体でまとめて可否が決まっているわけではありません。釣れる池の一覧を探すより、目の前の池がどういう池なのかを見るほうが早く、確実です。
判断の軸は一つです。農業用のため池には、必ず所有者か管理者がいます。釣り場として造られた場所ではなく、フェンスや掲示はその管理者が出している意思表示です。
やることは前後で分かれます。出かける前に地図と市町村のページで調べ、現地で掲示とフェンスを見る。判断がつかなければ、その場で聞く。
持っていくものは、一つに絞るならワームです。季節で変えるのは、狙う場所と探す速さのほうです。
愛知県には1,891か所のため池があります。最初の一歩は、行きたい場所の航空写真を開くことです。確かめる順番さえ身につけば、あとは池を見つけて竿を出すだけです。


