一年で最も寒さが厳しくなる1月。フィールドの水温は年間最低レベルまで落ち込み、バスの活性も極限まで低下します。まさに「厳冬期」であり、バスフィッシングにとっては最も過酷なシーズンと言えるでしょう。
しかし、この厳しい状況下で手にする一匹は、何物にも代えがたい価値があります。この記事では、1月のバス釣りの特徴から、具体的な攻略法、代表的なフィールドの狙い方、必須の装備まで、真冬のバスフィッシングを完全攻略するための情報を詳しく解説します。
- 1月のバスの活性や行動パターン(年間最低水温期、究極の低活性)
- 厳冬期の低活性バスを攻略するための核心テクニック
- 代表的な冬のフィールド(琵琶湖、霞ヶ浦、河口湖など)の1月攻略法
- 必須中の必須!「最高レベルの防寒対策」と厳選ルアー
- 究極のシーズンを乗り切るための心構えと注意点
1月のバス釣りの特徴
真冬のど真ん中である1月は、バスにとってもアングラーにとっても極めて厳しい環境です。その特徴を理解することが、攻略への第一歩となります。
幅広く冬のバス釣りについては、「冬のバス釣り完全攻略|寒い季節でも釣果を上げるコツとおすすめ戦略」で解説していますので、合わせてご覧ください。
水温の底と究極の低活性
多くのフィールドで水温が年間を通じて最も低いレベルに達します。地域によっては5℃を下回ることも珍しくありません。バスは変温動物であるため、ここまで水温が低下すると代謝活動を極限まで抑え、ほとんど動かない「冬眠状態」に入ります。
捕食行動も生命維持に必要な最低限となり、一日の中でルアーに反応する時間は極めて短く、あるいは全く反応しないことも覚悟しなければなりません。
越冬場所での安定とわずかな変化
バスは、冬の間を生き延びるために、一年で最も水温が安定する場所、すなわち「越冬場所」に集結し、そこでじっと動かずに春を待ちます。一般的には、風裏になるディープエリアのフラット、ブレイク、岩盤、水中ストラクチャーなどがそれにあたります。
温排水の流れ込みのような特殊な場所も有力です。基本的にはこの越冬場所から動くことはありませんが、日差しによるわずかな水温上昇や、ベイトフィッシュの微かな動きに、ごく稀に反応を示すことがあります。
真冬のクリアウォーターと静寂
水温低下により水中のプランクトンが減少するため、多くのフィールドで水の透明度が年間で最も高くなります(クリアアップ)。これは、バスからアングラーやルアー、ラインが見えやすくなることを意味し、警戒心を高める要因となります。
フィールド全体が静寂に包まれるため、物音などにも細心の注意が必要です。プレッシャーに非常に弱い状態と言えるでしょう。
1月のバス釣りの攻略法
究極の低活性バスを相手にするには、特別な戦略と技術、そして何よりも強い精神力が求められます。
越冬エリアのピンポイント攻略
まず、バスがどこで冬を越しているのか、その「越冬エリア」を正確に特定することが絶対条件です。地形図や過去のデータ、そして魚群探知機を最大限に活用し、バスが密集しているであろうピンポイントを見つけ出す必要があります。
そして、そのピンポイントを集中的に、粘り強く攻め続けることが重要です。「広く探る」という考えはこの時期には通用しません。
「無」に近いスローアクションと「間」
ルアーのアクションは、限りなく「無」に近い、超スローなものが基本となります。ラバージグやダウンショットリグなどをボトムでズル引く、あるいはほとんど動かさずに「ステイ(放置)」させる、ごくわずかにティップを揺らす程度の「シェイク」などが有効です。
バイト(アタリ)は「コンッ」という明確なものではなく、ラインがわずかに動いたり、重みが変わったりする程度の極めて小さなものであることが多いため、最大限の集中力と、わずかな変化も捉えるタックルの感度が求められます。食わせの「間」を十分に取ることが重要です。
リアクション狙いの最終手段(よりシビアに)
スローな誘いに全く反応が得られない場合、最後の手段としてリアクションバイトを狙う釣りがあります。代表的なのはメタルバイブの高速リフト&フォールです。これにより、バスの反射神経に訴えかけ、強制的に口を使わせることを狙います。
ただし、1月はバスの体力も極限まで落ちている可能性があるため、バスへのダメージを考慮し、短い距離でのリフト&フォールや、弱めのジャーク(サスペンドジャークベイトなど)を試すなど、よりシビアな状況判断が求められる場合もあります。
1月のバス釣りの場所別攻略法
代表的な冬のフィールドにおける1月の攻略法を見ていきましょう。どのフィールドも極めて厳しい状況です。
琵琶湖(広大なナチュラルレイク)
冬でも比較的バスが動きやすいとされる琵琶湖ですが、1月はやはりディープエリアが攻略の中心となります。南湖では浚渫エリアの深いブレイクやチャンネルライン、北湖では水深10mを超えるディープフラットや漁礁周りなどが有望です。
メタルバイブ、ヘビーキャロライナリグ、フットボールジグ、アラバマリグなどが定番。重要なのは、魚探でベイトフィッシュの反応を探し、そのレンジをスローに、丁寧に攻めることです。
霞ヶ浦(マッディシャローレイク)
広大な霞ヶ浦も1月は厳しい状況です。狙い目は浚渫エリア(マルトなど)のボトムやブレイク、石積みエリアの深場、ドックの壁際など、少しでも水深があり、水温が安定しやすい場所です。
メタルバイブのリアクションが最も可能性のある釣り方ですが、サスペンドシャッドのロングポーズや、ダウンショットリグなどフィネスリグでの一点集中シェイクも試す価値があります。釣れれば大型の可能性が高いのもこの時期の特徴です。
河口湖(クリアウォーターレイク)
冬の河口湖は非常にクリアで美しいですが、釣りは極めて難しくなります。バスはディープエリア(6m以深)の溶岩帯、ウィードパッチのエッジ、橋脚周りなどに身を潜めます。
定番は低水温でも硬くなりにくいポーク(豚の皮)を使ったダウンショットリグやジグヘッドリグでの超スローな誘い。メタルバイブも有効です。ラインはフロロカーボンの3lb~4lbなど細いものが有利で、ルアーカラーもナチュラル系やゴースト系が基本となります。
高滝湖(リザーバー代表)
冬のワカサギパターンが有名な高滝湖。1月はディープエリアに映るワカサギの群れを魚探で見つけ、その下にいるバスを狙うのがセオリーです。
メタルバイブのリフト&フォールが最も効果的な場合が多いですが、ダウンショットリグでボトムを丁寧に探るのも有効です。水温がわずかに上昇する晴れた日の午後などに、一瞬のチャンスが訪れることがあります。
野池(身近なフィールド)
小規模な野池の1月は、凍結していることも多く、釣りが可能な場所でも非常に厳しい状況です。狙うべきは最深部や、残された杭などの縦ストラクチャー、日当たりの良いワンドの奥など、わずかでも条件の良い場所です。
メタルバイブのリアクションか、ダウンショットやスモラバでの一点シェイクといった、忍耐力が試される釣りが中心となります。「ボウズ(釣果ゼロ)は当たり前」という覚悟が必要です。
1月のおすすめアイテム
厳冬期の釣りでは、タックル以前に、アングラー自身の装備が最も重要になります。
考えうる最高の防寒対策
1月の釣りでは、考えうる最高レベルの防寒対策が必須です。これは釣果のためだけでなく、自身の安全と命を守るためです。
防水・防風性能に優れた最高級の防寒ウェア(上下)、高性能なアンダーウェアやミドラー(フリース、ダウン)のレイヤリング、耳まで覆える防寒帽子、フェイスマスク(目出し帽)、保温性の高いグローブ、防寒・防水ブーツと厚手のソックスは最低限の装備です。
使い捨てカイロは、体に貼るタイプ、靴用、手持ち用など、あらゆる種類を大量に準備しましょう。温かい飲み物も必須です。
真冬の最終兵器ルアー
数少ないバイトチャンスをものにするための、厳選されたルアーが必要です。
リアクションバイトの切り札メタルバイブ(必須。小型~標準サイズまでウェイトを複数用意)。ボトムをスローに探るためのフットボールジグやラバージグ(トレーラーはポークや動きを抑えたワーム)。食わせの最終兵器ダウンショットリグやジグヘッドリグ(スモラバ)に使う小型ワーム。中層攻略やリアクション狙いのサスペンドシャッドやミノー。
サイズは全体的に小さめが有利な場合が多く、カラーはナチュラル系、ゴースト系、フラッシング系(メタルバイブ)などが中心となります。
まとめ
1月は、一年で最もバスフィッシングが厳しい季節です。寒さ、低水温、低活性という三重苦がアングラーを待ち受けます。しかし、この究極の状況下でバスを手にすることは、計り知れない達成感と感動を与えてくれます。攻略の鍵は、バスの越冬場所を正確に特定し、ピンポイントで、「無」に近いスローな誘いとリアクションを使い分け、一点集中で攻め続けることです。
そして、何よりも自身の安全を守るための万全すぎるほどの防寒対策を絶対に怠らないでください。厳しい自然を相手にしていることを常に忘れず、無理のない釣行計画を立てましょう。「釣れないことが普通」という心構えを持ちつつ、価値ある真冬の一匹を求めて、静寂のフィールドに挑むのもまた、バスフィッシングの奥深い魅力の一つです。
- 1月は厳冬期!年間最低水温でバスの活性は究極レベルに低下。
- 攻略は越冬場所のピンポイント特定と、一点集中での超スロー&リアクション。
- クリアウォーターとプレッシャー対策も重要。ラインや物音に注意。
- 考えうる最高レベルの防寒対策が必須!安全が最優先。
- 厳しいが価値ある一匹との出会いを求め、忍耐強く挑もう。